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2006年11月17日

事実とイメージと回想のカオス

 読売新聞連載小説「声をたずねて君に」より。


 主人公は、路上で偶然遭遇した狂気じみた

男に何故か興味を覚えます。


 道行く人に配布して回っていたチラシの内容は

常軌を逸したものでした。



 ”ある人を探しているので、心当たりがある方は、

私に情報をください。



 ある人とは、何処かで存在しているはずの自分の分身

の男です。



 自分は生まれながらに恵まれた環境に育まれ今まで

生きてた。



 生活にさしたる不満もありません。


 最近自分が幸せなのは自分の分身が身代わりとして

不幸を背負っていて、それで帳消しにしているからなのでは

ないかと思うようになった。


 
 もう一人の自分が今非常に危険な状態に陥っており

今こそ自分は彼のを助けてあげなければならないと

思っている。

 
 自分の体に走る痛みが、彼がこの近くにいるということ

を知らせているのだという確信があるのです。



 どなたか狂言などと思われず分身の男を見つけ出すための

手がかりとなる情報をください。”



 ……というような内容のチラシを男は道行く人に配っていたわけです。



 異常な内容のチラシと、異常な男、普通の人であれば


まともに相手にしようとは思いませんし、記憶からスッパリと


断ち切ろうとするでしょう。




 しかし、主人公はそのチラシのことを、電車内でむさぼるように読み

漁りました。



 それは何故かといいますと、

その異常な男が考えていることと、主人公が考えていることとが

よく似ていたということと、

文章を読んでいて、ありえないはずのあるイメージが主人公に

襲いかかって

主人公ははげしい眩暈を覚えたほどだったからなのです。



 
 それは文章中にある交通事故について触れてあったところを


読んでいた主人公の脳裏に、自分の父親が事故の被害者に対し


大きな声で「大丈夫ですかー」と問いかけているというシーン


だったのです。



 異常な男、自分の父親、自分自身と不可思議なリンクがつながり、

ストーリーはまた新たな展開に進んでゆくのです。




 このような世界観、小説を書く者ならこのようなテクニック・

構想力を学び、大切にしたいものですね。


 
 
posted by news at 21:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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