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2006年08月30日

今日も読みました。新聞連載小説。

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管理人が見る読売新聞連載小説「声をたずねて君に」12回
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 身長が世間一般より高めという以外まったく平凡で他人との差別化が

はかれないという主人公。



 そんな主人公ですが

言葉については自覚的にならざるをえないということを、前回に引き続

き、例をとりあげながらつづっています。


 
 二年半務めていた会社を辞めるという主人公に対し、

上司は一応慰留し主人

公の指導係をつとめてくれていた先輩社員を主人公の下へやります。


 
 「腹を割って話そう」先輩はこう言うのです。

 どうしてそんなことが言えるのだろう。主人公は思いました。1ページ
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 二人の本当の本音。


 上司役からすれば、さしたる能力のない主人公が

1人やふたり辞めようと痛くも痒くもありません、が、社員定着率の悪さが

自分の人事考課の評価を悪くするかも知れないと考えて慰留したのでしょう。



 また、主人公の指導社員を務めたことがある先輩社員からしてみれば、

上司から主人公の本当の退職理由を聞き出すことを依頼されやってきたので

あって、主人公が本当に心配ではありません。むしろここを辞めるのは勝手だ

けど君程度の能力ではどこへ行っても通用しないよとすら考えているでしょ

う。



 自分が主人公の指導係を務めていたという一応のそのような他生の縁を

考慮してのことだったり、

当時主人公のことを一人前のサラリーマンに鍛えるべく自分は懸命に

教えてきたという自身へ向かったプライドであったりするのです。


 彼らからしてみれば、別にいつ辞めてくれても構わない人材なんですね。
                             2ページ
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 平常なら、主人公と一緒に食事をしたりお酒を飲んだり、

休日に遊びにでかけて行ったりするなどして親交を深めたいと思いません。



 そんな本音を腹に隠しているはずの先輩から思いがけず、

「腹を割って話をしよう」という言葉をかけられ主人公はとまどうのです。



 彼にとって言葉は人類同士が交信するためにコミュニケーションツールの

機能をもたせたていたりしている単なる字の羅列なのです。



 そして世界中のほとんどの人々もまた彼らとおんなじなんです。



 そんなことに一々注意なんか払おうとしません。だいいち時間のムダです

し、そんなことを考えたってキリがありませんよね。

 そんなことが気になるなんて一種のオタク状態みたいなもの。



 でも、主人公は違います。いちいち気になって仕方ないんです。

 解答を求めカタルシスを得ようとします。3ページ           
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 会社でも有能と評価される彼らのようなの立場の人間からしてみれば、

平凡すぎる主人公が会社で平凡な仕事だけしか与えられないのは当然と考え

ています。


 でも、客観的な自己評価ができない本人たちにとってはそんな評価待遇が

受け入れられず苦痛に思っているだろうと彼らは察しているのです。

 
 だから主人公は会社を辞めたくなったと。


 ところがです、大卒だったっからそこでは給料も高く、自分が平凡である

と認識できていた主人公にとっては

今の会社が不満では全くありませんでした。



 上昇志向が強く、成功する為のマインドと能力をそなえる彼らは、

そんな主人公の思考体系が理解できませんからどうしてだろうと悩むのです。



 ちょうどそれは彼らが言葉に対してどうしてそれほどまでに無自覚なんだろ

うと理解できずに悩んでいる主人公と同じなんですよね。


 沢木耕太郎先生は意図してこのようなストーリーを描いているように

ぼくには思われるのです。

posted by news at 12:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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